<前回からの続き>
春川ナミオが日本代表とすれば、アメリカ代表というべきフェティッシュ系イラストレーターはエリック・スタントン。主に1970年~80年代に活躍した画家で、数多くのフェイスシッティング(顔面騎乗)シーンを描いています。
スタントンのイラストは、アマゾネス的なたくましい女性が弱々しい男の顔に座り込んで懲らしめるシーンが多い。さらにはフェイスシッティング・シーンのみならず、ビザールなハードSM的世界観で芸術性さえも感じさせる作品を数多く残しています。
TASCHENというアート系の出版社から彼のイラスト集が発売されており、日本でも大きな書店なら入手可能。
このエリック・スタントンや前回の春川ナミオはFemale Domination(女S・男M)の世界ではメジャーな存在で、当時としてはとても貴重な顔面騎乗シーンを数多く世に出してくれました。
ただし、いずれもSM色が濃厚な作風であるため、ソフト志向の私にとっては画中の男性に今ひとつ感情移入できない、という難点があったのです。
そんな私が注目していたのがロスというイラストレーター。この人は先のスタントン・春川といった二大巨頭に比べるとはるかにマイナーでほとんど知られていない存在ですが、少なくとも私には大きな影響を及ぼした画家です。
スタントンや春川の顔面騎乗イラストは、いずれも冷酷で無慈悲な女性がその巨体で男性の顔を塞ぎ、懲罰的に苦しめるものばかり。一方ロスのイラストは、スレンダーで魅惑的な女性が男性の顔に淡々と座るシーンが多く、静かな時間が流れているような印象です。
またアーティスティックなモノクロのデッサンがセンスの良さを感じさせ、自分のサイトのモチーフにするほど気に入ってしまいました。(「はじめに」の挿絵2点はロスのイラスト)
このロスやスタントンなど海外のイラストレーターによる顔面騎乗シーンに出合ったのは、その当時(1980年代に)多かった海外ポルノ雑誌の国内版。今ではめっきり見かけなくなりましたが、かつてはBachelor、Gent、Targetなど主にアメリカのポルノ誌を日本国内向けに編集し直した雑誌が多数出版されていました。
これら洋モノ系雑誌を通じて、スタントンやロスなどのフェティッシュなイラストレーションや男女のレスリング(ミックスファイト)によるフェイスシッティングの存在を知るようになったのです。
「むむーっ、どうやらアチラの国(アメリカ)では、日本よりも顔面騎乗がお盛んのようだゾ?」と気づいた私は、海外情報へのアクセスを試みるようになります。といっても洋モノポルノ雑誌の国内版を漁るぐらいしかできなかったので、さほど成果はありませんでした。
<次回へ続く>